夢の上

標準

神が人々の信仰を試す為に浮かべたという空を覆う巨大な石の下、圧政に苦しむ国を舞台に、現人神である王の第二王子をキーとしたストーリーが展開します。

物語は果たされなかった夢が結晶化したという六つの石を一つづつひも解いていくという形になっています。各夢の持ち主の記憶が順番に語られていき、その都度に主体を変えながら時代の変革へと絡むエピソードを多角度からあぶり出していきます。

主格を変えていくことで複数の人々の思惑が複雑にからみ、物語に深みが生まれています。神とは、王とは何なのか?という本格ファンタジーらしい謎に少しずつ近づきながら各ストーリーに読者の興味を引く仕掛けを忍ばせ、どの章も面白かった。複数の登場人物それぞれに人生の重みを与え、全体が重層的に仕上がっています。この分量に見合うスケール感もあり読み応えも十分。

いくらかちゃんと考えないと判りにくい部分などもありましたが(ツェドカの章です)、ラストに向けてきれいに収束していく様を味わう醍醐味にもあふれていました。読後感も良く、素敵な物語です。
いわゆるラノベでは軽すぎてちょっと…でもハヤカワだの東京創元だのはハードすぎるかなあ…っていう層にど真ん中のファンタジー作品だと思います。

どのお話もすごく感動的!初っ端のアイナの人生には泣けました、まだ第一話なのに…若草色の石、その色って夫・オープの目の色ですよね…。あとはツェドカ~(涙、なんてカッコいいんだ君は!