地球最後の野良猫

標準

猫がとてつもなく高価になって、自由に飼うことが不可能になってしまった近未来が舞台。

母親と慎ましやかな生活を送っている少女・ジェイドは迷いこんできてた猫をこっそり飼い始め夢中になりますが、やがてその存在を権力側に知られてしまい、猫を飼うことが許されているアイルランドへの逃亡生活を始めることとなってしまいます。

著者は児童文学作家だそうでこの作品もヤングアダルトに分類される内容です。SFらしさは状況背景のひとつとしてあっさり処理されていて、あくまでも少女の成長の物語がメインです。10代向けらしい内容でとても読みやすくあっという間に読了してしまい、本格SFを期待していると肩透かしを食うと思われます。

でも、いいお話です。
小さな猫の命を助ける為の逃亡冒険ストーリーを通じて、隠されている真実に目を向けることの大事さ、誰かの利益の為に犠牲となっている弱いものを守る勇気の美しさを描いています。ラストも感動的。うるっときちゃいました。

甘いハッピーエンドに終わらせないもの良かったです。本物の児童文学が持つ、真面目で厳しい姿勢を感じさせます。
それに猫の描き方も気に入りました。ジェイドは猫がただ猫らしくそこに存在することを単純に可愛く思い、愛します。猫を妙に擬人化させたりしてベタベタしたペットメロドラマにしない冷静な視点が存在していました。

そしてなによりも、表紙が可愛くてグー!作中、三毛猫の茶色の毛の色のことを「しょうが色」って表現するのも素敵。